オリンピックのスノーボード・ハーフパイプを観ていて、
「トリプル1620を決めたのに90点いかないの?」
「なぜ第一滑走で90点台が出るの?」
「トリプルコーク2連続の方が有利なの?」
と疑問に感じた方は多いはずです。
現在のハーフパイプは、単純な“回転数勝負”ではありません。
採点は、国際スキー・スノーボード連盟(FIS)の基準に基づき、総合評価方式で行われています。
この記事では、
・ハーフパイプの採点基準の仕組み
・なぜトリプル1620でも90点未満なのか
・北京五輪との違い
・トリプルコーク2連続は本当に有利なのか
を、できるだけわかりやすく解説していきます。
ハーフパイプの採点は「加点方式」ではなく“総合評価”
まず重要なのは、ハーフパイプは技ごとの点数を足し算する競技ではないということです。
ジャッジはラン全体を見て、100点満点で評価します。
評価される主な項目は以下の通りです。
① 難易度(Difficulty)
・回転数(1080、1440、1620など)
・縦軸回転(ダブルコーク、トリプルコーク)
・スイッチスタンス
・技の入り方、抜け方
回転数はもちろん重要ですが、それ“だけ”では決まりません。
② 高さ(Amplitude)
現在のハーフパイプでは、高さは非常に重要な評価項目です。
・どれだけパイプから抜けているか
・各エアで高さが安定しているか
回転数が高くても高さが低ければ評価は伸びません。
逆に、回転数が同じでも高さが圧倒的なら点数は上がります。
③ 完成度(Execution)
ここが90点を超えるかどうかの分かれ目です。
・軸のブレ
・体の開き
・グラブの深さ
・回転中の安定感
トリプルコークでも、空中姿勢が乱れていれば評価は大きく下がります。
④ 着地のクリーンさ
着地は想像以上に重要です。
・板が流れる
・減速する
・手をつく
・ラインが崩れる
こうした小さな乱れが積み重なると、90点には届きません。
⑤ ラン全体の流れ(Flow)
ハーフパイプは6発前後のエアをつなげていきます。
・スピードが落ちていないか
・ライン取りがスムーズか
・後半も高さを維持しているか
技単体ではなく、“作品としての完成度”が評価されます。
なぜトリプル1620でも90点未満なのか?
「トリプル1620=超高難度」なのは間違いありません。
しかし現在のトップレベルでは、トリプルコーク1620は“特別な技”ではなくなりつつあります。
北京五輪(2022 Beijing Winter Olympics)当時はトリプルがまだ限られた選手の武器でした。しかし現在は多くの選手が成功させています。
つまり、
「できる」こと自体では差がつかない
時代になっています。
もし
・高さがやや低い
・グラブが甘い
・着地が流れた
・後半で減速した
このどれかがあれば、90点未満になるのは珍しくありません。
トリプルコーク2連続の方が高得点?
結論から言えば、
質が完璧なら高得点になる可能性は高い
です。
しかし、
・2発目で高さが落ちる
・着地が乱れる
・技のバリエーションが不足
こうなると逆に評価は伸びません。
ジャッジは
・左右の回転バランス
・スイッチ技の有無
・技構成の多様性
も見ています。
同じ方向への回転ばかりだと評価は伸びにくいのです。
第一滑走で90点台が出た理由
「決勝1本目で90点台は出ないと思っていた」という声も多くありました。
しかし現在は、
・完成度が高ければ即高得点
・様子見採点はほぼない
という傾向があります。
第一滑走でも
・高さが安定
・グラブ完璧
・着地クリーン
・構成に無駄がない
これが揃えば90点台は十分に出ます。
現在のハーフパイプは“芸術点競技”に近い
近年のハーフパイプは、単なる回転競争から進化しています。
・難易度
・高さ
・完成度
・流れ
・バリエーション
すべてが高水準で揃って初めて90点台に届きます。
イメージとしては、フィギュアスケートの演技構成点に近い感覚です。
まとめ|回転数だけでは勝てない時代
今回の疑問を整理すると、
・1620だから高得点、ではない
・トリプルでも完成度が低ければ伸びない
・高さと着地は超重要
・ラン全体の質が最も重要
ということになります。
現在の男子ハーフパイプは、史上最高レベルに到達しています。
だからこそ、回転数だけを見ていると採点が分かりづらく感じるのです。
採点基準を理解すると、観戦は一気に面白くなります。
次回の大会ではぜひ、
「高さ」「グラブ」「着地」「後半のスピード」
この4点を意識して観てみてください。
きっと点数の意味が見えてくるはずです。
