「カナダって野球人気あまりないのに、なぜメジャーリーグのチーム“ブルージェイズ”があるの?」
──確かに、そう感じる方は多いでしょう。カナダといえばアイスホッケーの国として知られており、野球の印象はやや薄いですよね。
しかし実は、ブルージェイズがカナダ唯一のMLBチームとして存在しているのには、しっかりとした歴史的・経済的な理由があるんです。
この記事では、
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カナダで野球が根付いた背景
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ブルージェイズ誕生の理由
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カナダ出身メジャーリーガーが少ない理由
を分かりやすく解説します。
■ カナダは本当に「野球人気がない国」なのか?
まず、カナダでは確かにアイスホッケーが圧倒的な人気スポーツです。
冬が長く、屋内リンク文化が発展しているため、国民的スポーツとして根強い支持を得ています。
とはいえ、「野球がまったく人気がない」というわけではありません。
実際、トロント・ブルージェイズのホームゲームには連日数万人の観客が訪れますし、
カナダ国内でもリトルリーグや学生野球のチーム数は増加傾向にあります。
特にオンタリオ州やブリティッシュコロンビア州では、アメリカに近い文化圏の影響を受けており、野球が日常的なスポーツとして浸透している地域もあります。
■ なぜブルージェイズはカナダに本拠地を置いているのか?
ブルージェイズが誕生したのは1977年。
当時、カナダにはすでにモントリオール・エクスポズ(1969年創設)というチームが存在していました。
つまり、当時は「カナダに2つのMLBチーム」があったのです。
トロントが選ばれた理由は主に以下の3つです。
● ① 経済規模が大きく、MLB経営に適していた
トロントはカナダ最大の都市であり、経済の中心地。
人口も多く、アメリカ北東部市場へのアクセスも抜群でした。
この都市なら、安定した観客動員とスポンサー収入が見込めたのです。
● ② アメリカとの地理的・文化的つながり
トロントはアメリカとの国境に近く、メディアやスポーツ文化もアメリカと密接。
そのため、メジャーリーグのチームを誘致しやすかったという背景があります。
● ③ カナダの国際的イメージ向上を狙った戦略
当時のカナダ政府や企業にとって、「MLBチームを持つこと」は国際的なステータスでもありました。
ブルージェイズの創設は、“国際的都市トロント”の象徴的存在として期待されたのです。
■ カナダ出身メジャーリーガーが少ないのはなぜ?
確かに、カナダ出身のMLB選手はアメリカに比べると非常に少数です。
これは、環境と文化の違いが大きく影響しています。
● ① 冬が長く、屋外練習の機会が限られる
カナダでは冬季の気温が低く、屋外の野球練習ができる期間が短いため、
年間を通してプレーできるアメリカ南部ほど育成環境が整っていません。
● ② 育成年代ではホッケーが主流
多くの子どもたちは幼少期からホッケーを始めるため、野球に触れる機会が少ないのが現実です。
そのため、才能あるアスリートがホッケーに流れる傾向があります。
● ③ それでも名選手は存在する!
しかし、少数ながらカナダ出身のスター選手もいます。
代表的なのがこちらです👇
| 選手名 | ポジション | 主な所属チーム |
|---|---|---|
| ラリー・ウォーカー | 外野手 | コロラド・ロッキーズ |
| ジャスティン・モルノー | 一塁手 | ミネソタ・ツインズ |
| ジョーイ・ボット | 一塁手 | シンシナティ・レッズ |
| ジェームズ・パクストン | 投手 | トロント・ブルージェイズなど |
彼らの活躍により、カナダ国内でも「野球選手を目指す若者」が少しずつ増えつつあります。
■ ブルージェイズがカナダ唯一のMLBチームになった理由
実は、かつてカナダにはもう1チーム「モントリオール・エクスポズ」が存在しましたが、
観客動員の減少や球場老朽化などの問題により、2005年に本拠地をワシントンD.C.(現・ナショナルズ)へ移転。
結果的に、現在ではブルージェイズがカナダ唯一のMLBチームとなりました。
そのため、カナダ全土のファンが「国代表チーム」としてブルージェイズを応援する文化が根付きつつあります。
■ まとめ:ブルージェイズは“経済と文化の橋渡し役”
カナダで野球がアメリカほど人気でないのは事実ですが、
トロント・ブルージェイズは、経済・文化・国際的シンボルとして確固たる存在感を示しています。
カナダの人々にとってブルージェイズは、
単なるスポーツチームではなく、
「北米の中でカナダを象徴する誇り」なのです。
✅ チェックポイント
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カナダではアイスホッケー人気が圧倒的だが、野球文化も一定の支持がある
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ブルージェイズは経済規模とアメリカ文化圏の近さから誕生
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カナダ出身選手が少ないのは気候・育成環境の影響
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現在はカナダ唯一のMLBチームとして国民的シンボル的存在に

